2024年末に思う事
- 森ヨシヒコ
- 2024年12月31日
- 読了時間: 6分
更新日:6月23日
2024年は八王子市長選挙(1月)、東京都知事選挙(7月)、衆議院議員選挙(10月)と、3つの大型選挙に翻弄された1年でした。各候補に投じられた票数やニュースを見ると、当落と民意は似ているようで別のものであるという思いです。当選した候補よりも、落選した候補達の票が圧倒的に多い選挙や、選挙の後になって不正や不祥事が明らかになったり、当選を目的とせずに選挙を宣伝やビジネスの道具にしている人々が現れたりと、2024年も様々な選挙がありました。選挙は民主主義の根幹を支える重要な仕組みであることは言うまでもないことですが、自分たちがやっていることや考えていることがどうすれば有権者にきちんと伝わるのか、都度忸怩たる思いです。
衆議院議員選挙では、立憲民主党から立候補した有田芳生さんを全面的に支援し、比例復活ではありますが当選をかちとることができました。東京24区において非自民系の国会議員が誕生するのは、民主党の阿久津幸彦さん以来のことです。八王子の東南部と日野市・立川市を合わせた東京21区でも立憲民主党の大河原雅子さんが当選を果たし、八王子市を拠点とする国会議員3名のうち、2名が非自民系となりました。
高齢化による稼働年齢人口の減少により、業界や場所を問わず人手不足が問題となっています。地域コミュニティの現場でも、担い手不足、次世代育成の重要性がますます顕著になってきました。20年ほど前は、団塊世代と団塊ジュニア世代による人余りで、労働力の買い叩き、長時間労働や過酷労働が横行していましたが、今は初任給の引き上げ合戦、働きやすさやキャリアプランが見える人事制度をPRし、人手不足倒産という言葉も聞かれるようになりました。当時民主党は人への投資、誰にでも居場所と出番がある社会を提唱していましたが、そうした考えは企業活動にも浸透しつつあるけれども、これが世の中の普遍的な価値観になり、政策や制度になるには、まだ幾つか選挙を経なければなりません。とりわけ、6月から7月にかけては、東京都議会議員選挙、参議院議員選挙が予定されています。
東京都議会では、立憲民主党の須山たかしさんとこの4年間連携して取り組んできました。東京都は潤沢な予算を背景に、子育て施策や新たな街づくりなどを進めていますが、やり方が正しいのかと疑義を持つこともあります。
確かに、育児や教育にはお金がかかりますが、それを支える行政として、手当(現金)を払うのか、サービス(現物)を提供するのかと言う問題。またそのどちらを行うにせよ、国の制度でない場合、自治体独自の事業としてその財源は自治体(都や市)で手配しなければなりません。国の施策が充実していないから、自治体が汗をかく、このこと自体は間違っていませんし、よその自治体がやらないから率先して東京が音頭取りをすることも理解しますが、よその自治体が真似できない、東京都にしかできない規模でこれを行うと、都道府県をちょっとまたいだだけで住民サービスに大きな格差がある状況が生まれます。東京都が予算を潤沢に持っているのは、都内に政治や商工業、芸術文化の拠点が集中しているからにほかなりませんが、それらを生産・維持するための人や資源は全国近隣の道府県からまかなわれています。東京都(とりわけ特別区)の都市化は人・金・物をブラックホールのように引き寄せ、地価や物価だけでなく、形のないモノやサービスにも価値を与え、様々な格差を生み出します。
東京都議会議員選挙になれば、おそらく多くの候補が流行りの減税合戦、物価高騰対策のためのバラマキ合戦、あるいは潤沢な予算を背景にした行政サービスの提案が、バナナのたたき売りのように始まることと思われますが、行政や政治の役割は社会資源の再配分に名を借りたお金配りではなく、新たな制度の種をまき、仕組みを作ることです。
また、この間の選挙では国政選挙や都政選挙なのに「八王子のために」「八王子出身者だから」という地元愛を全面に出した選挙戦術が常套化しています。有権者は八王子市民ですから、「八王子のために」は響くのでしょうが、本来これは当たり前すぎて「言うだけ野暮」です。国政や都政を語るなら、国や都をどう良くしていくのかが出発点で、八王子市が良くなるのは副次的な効果であるべきなのに、「国の予算や制度を使って八王子に〇〇を持ってきます、作らせます」という我田引水的な主張がてんこ盛りです。
八王子市は地理的特性を生かしながら神奈川県や山梨県も含めた近隣市町村と連携し、東京の西のハブを創るような役割も担えると思いますので、東京都政には三多摩格差の解消、特別区の添え物ではなく八王子を中心とした東京西部圏域のまちづくりをやってほしいと思っています。
都政に関してもう一つ苦言を呈するならば、この数年間、労働組合の提言も踏まえて様々良い政策や条例を作っているのに、作ったきり条例の効果が実感できないことです。営利追及型ではなく社会貢献を重視する「ソーシャルファーム」推進条例、オリンピック・パラリンピックを機に制定された人権尊重条例、こども基本条例など、理念は良いけど実施段階で画竜点睛を欠く(具体的な実施にあたっては外郭団体に丸投げ、条例制定されているのに特定民族への差別的取り扱いがなくなっていないなど)ものが多々あります。12のゼロを掲げて実現ゼロに代表的な小池知事のアドバルーンで終わらせることなく、有言実行する都政を期待しています。
参議院議員選挙は、熟議の国会を実現するための一里塚となります。民主主義は多数決ではなく、対話を通じた少数意見の反映です。自民党政治、とりわけ安倍政権以降、「アベ政治」という言葉に象徴されるような乱暴な国会運営が展開され、民主的な政治からは遠のく一方です。お友達企業や一部国家を優遇するために行政を歪め、指摘する声に耳を傾けず、公文書の改竄や隠蔽も行い、国会で追及されてもウソ・ごまかし・答弁拒否をした挙句に数の力で強行採決。2024年10月の衆議院選挙で与党は衆議院において少数与党となり、野党の意見反映を行わずに法案を通すことが困難になったのは、大変な前進です。しかしながら参議院はいまだ自公が圧倒的な勢力を持っており、衆議院で可決した事項を否決することもできる状況です。参議院は議員任期が6年と長く、衆議院のような解散制度がないので、政治情勢に左右されにくく、安定して政策の調査研究審議ができるという特徴があり、故に「良識の府」と言われます。私が日頃支援連携している岸まきこ参議院議員は今度の7月に改選で2期目の挑戦です。行政の現場に造詣が深く、住民福祉の充実安定のために科学的で現実的な政策提案ができる人です。来年は都議選・参議院選と大きな選挙が立て続けにありますが、岸まきこさんの政策が市民の皆さんに届くよう、頑張ります。
参議院議員選挙の、しかも全国比例候補は200人に迫る人数が立候補していますから、投票所に足を運んでから候補者名簿を見て悩むことができません(名簿はありますが、小さな字でビッシリ詰め込まれているので、誰が出ているかを確認するのも大変です)。日頃の活動の積み重ねと、活動内容の共有が大切なのですが、八面六臂の活躍なので、何を頑張っているのかひと言で伝えきれないのが悩みの種です。岸さんのXはこちら→ https://x.com/kishimakiko_j
無所属の議員でありますが、各級議会とのつながり、政策やめざすべき社会を共有しながら、今後も活動して参ります。今年も大変お世話になりました。2025年もどうぞよろしくお願いいたします。

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